諸行無常

「土筆が生えてくる」 と書いてあるけど去るものは日々にうとし し土にほろうにも何も残せない。鉛筆を苦痛のように握っていて必死に筆紙に尽くし難しい謎を 心が鉛色に染み込まれないように何らかの思い出を著そうとする甲斐もなく なにも残せない。 自分の肉体ガイアに刺青筆紙を尽くし美しい顔立ちは 必至だと信じたいのに 何も残っていない。 あまりにも生きてきて  髪が白くなった。鈍り神が白けた顔をして 恍惚鈍りで 「物事には全て潮時がある」と唱えるけど潮が消している。この砂の城。時が消している。この灰色の人生。遂に残されるのはこの土の筆だけ、軋む骨の中の闇に鉛色のシン

plus ça change, plus c’est la même chose

人が変わらないと言いました。 自由の女神は銅製です。固いです。冷たいです。永遠に一人きりでそっと立ち続けます。 島の上に。 しかしながら、なんぴとも一島嶼にてはあらず。 昔、私を愛していた恋人が「自由欲しいって責任取りたくない事でしょ」と言いました。その時、私はその意味を理解しなかったかもしれません。 この間、私が愛していた恋人が「自由欲しい」と言いました。その時、私はその意味を理解したくなかったかもしれません。 人が変わらないと言いました。 人は骨身ではありません。人は銅。人は固い。人は冷たい。 確かに、この間、抱き締めた貴女はそうでした。 確か、かつて、貴女は骨身でしたのに。柔らかったのに。温かかったのに。 人が変わらないと言いました。灯を持ち上げて、万物を眺めながら。 骨は鉄。 肌は銅。 心は鋼。台の上に立って、永久の海を眺めながら。 しかしながら、灯台もと暗し。 見えぬ土地。真下。海底。全てを繋ぐ。見えぬ風。真上。気圏。全てを囲む。見えぬ台顔。なにびとも一島嶼にてはあらず。 土地を潰す。風を塞ぐ。存在で変える。土地に染められる。風に削られる。存在で変わる。貴女の殻。私の体。骨身を削る、その緑青ファサードを割る為。流れる血。ときめく心。潜める責任と照らす自由。灯台もとの見えない自分。 「そっとしてくれない?」と言いました。変わる可能性があるように。 何も変えなければ私の全てが変わります。何か変えれば私の全てが変わらずに続きます。と信じていました。 人が変わらないと言いました。 まだ信じています。

Design a site like this with WordPress.com
Get started